コルチゾールとは?

コルチゾールとは?

コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一つです。
ストレスを受けたときに、脳からの刺激を受けて分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。

コルチゾールは悪いものなの?

コルチゾールは、ストレスホルモンと言われており、過剰に分泌がされるとよくないですが、全てが悪いわけではありません。
まずコルチゾールはどのように発生するのでしょうか?

コルチゾールが発生する流れ

ストレスをうけると副腎から次のホルモンが分泌されます。

・アドレナリン…ノルアドレナリンから電気信号を受け取って血液に送り込まれる。これにより心拍数と血圧が上がり呼吸が速くなる。

・コルチゾール…アドレナリンよりも作用は遅いですが、効果の範囲は広い。

それでは副腎から分泌されたコルチゾールはいったいどんな働きをするのでしょうか?

コルチゾールはどんな役割をするの?

コルチゾールには様々な役割があります。いくつか役割を説明します。

・肝臓に信号を送りグルコース(燃料のようなもの)を血液中に送り込む。
・ストレスに対処するうえで、それほど重要でない組織のインスリン受容体を遮断し、大切な部位にだけグルコース(燃料のようなもの)を送り込む。
・たんぱく質をグリコーゲンに変換し脂肪を蓄える。
・脳に対してグルコースを安定供給させる。
・海馬※の長期増強も促す。
・ニューロンに燃料を供給するうえで重要なIGF-1も分泌する。

※海馬…新しいことを覚えるうえで重要な部位であり、海馬で新しい情報を整理整頓してくれます。ただデリケートな部位でもあり、酸素不足や強いストレスで壊れてしまう性質があります。

一方でコルチゾールが過剰に分泌されるとどのような効果があるのでしょうか?

コルチゾールが過剰に分泌されるとどうなる?

コルチゾールが過剰に分泌される状態、つまり慢性的にストレスがかかった状態が続くと次のようなことが起こります。

  • 記憶そのものを破壊してしまう
  • 必要な記憶を引き出せなくなる
  • 筋肉組織が分解され不要なグルコースと脂肪が生成される
  • インスリン抵抗性となり糖尿病になりやすくなる
  • 必要以上の脂肪が蓄えられる


またコルチゾールが分泌される量は遺伝によっても影響する可能性があります。

遺伝でコルチゾールの量が変わってくる?

遺伝によってコルチゾールの量は変わってくるのでしょうか?
調査によると親が緊張症の人は人前でスピーチが終わってから24時間が経ってもコルチゾールの値が上昇したままだったそうです。
また妊娠中に繰り返しストレスにさらされた母親から生まれたラットは、成長後も、そうでないラットに比べてストレス耐性の閾値が低くなったそうです。
このようなことからコルチゾールの量は遺伝で変わってくる可能性があります。

それではストレス耐性が弱い人やストレスを感じやすい人はどうしようもないのでしょうか?
それを改善する方法として「運動」が効果的と言えます。

運動によるコルチゾールの効果

運動はストレス反応を誘発しコルチゾールが分泌されますが、極端な内容でなければコルチゾールであふれかえることはありません。

また有酸素運動をするとBDNF※の分泌量も増やし慢性ストレスの有害な影響に負けないようにしてくれ、細胞の修復だけでなくコルチゾールが増えすぎないように監視をしてくれます。

※BDNF…活性化したニューロン内部でつくられるたんぱく質。脳にとっての肥料(ミラクルグロ)で細胞の養子となりニューロン新生も促す。

さらに運動をするとセロトニンも分泌されます。
セロトニンはコルチゾールを中和してストレスを抑えるとともに前頭前野や海馬を細胞レベルで整えてくれます。

このようなことから有酸素運動はストレスに対して効果的な対策と言えます。

終わりに

コルチゾールの発生の流れや過剰に分泌された場合の効果や対策についてまとめさせて頂きました。

ストレスに悩まれている方の参考になるような記事になれば幸いです。

執筆者:takashi horikawa